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首里城を求めて(琉球建築文化)The Discovery of Ryukyu Architecture 伊東忠太(著)

沖縄県首里市は、首里城正殿の取り壊しを決定した。これを知った鎌倉芳太郎は東京帝国大学教授伊東忠太に相談。伊東忠太は沖縄に向かい、首里城を訪ねてその建築を調査した。

「この数奇な運命にある首里城正殿保存のために、暖かい手をさしのべてくださることを強く願う。これは決して私ひとりの私情ではない。沖縄だけの問題でもない。私たちの国……いや世界の芸術のために大切なことなのだから」

伊東忠太の働きかけは、内務省を動かし、首里城は国宝へ指定されて、その姿は守られることになった。この話は、今から1世紀も昔の1923年から1925年の出来事だった。

2019年10月、首里城正殿、火災で消失。

ニュースが伝わってのち、2022年3月までのあいだに、日本中からさしのべられた「首里城火災復旧・復興支援寄附金額」は55億円もの額に達した。それは私たち日本人の、首里城への想いを示すようでもあった。

沖縄の誇り、日本の誇り、伊東忠太によってあらためて見いだされた琉球王国の至宝。

よみがえれ! 首里城。

The Discovery of Ryukyu Architecture

首里城を求めて

※本書は、1942年に発刊された『琉球:建築文化』(伊東忠太/東峰書房)を『首里城を求めて』として出版したもの。新たに章立てを行ない、現在、一般的に使われていない言葉や表現は現代語訳した。

首里城や琉球建築はもちろん、料理、信仰から琉歌、神話までを縦横無尽に記載したオキナワの「超」入門書。豊富な図版と写真で、読みやすい。旅行ガイド「伊東忠太と旅する琉球建築」を併録。

【もくじ】

首里城を求めて/伊東忠太

第1章/沖縄へ

第2章/那覇のあらまし

第3章/琉球の信仰

第4章/首里城

第5章/琉球の建築 

第6章/続・琉球の建築

第7章/郊外の旅

第8章/沖縄の出合い

第9章/琉球神話

第10章/沖縄を離れて

あとがき

伊東忠太と旅する琉球建築【前篇】首里城

伊東忠太と旅する琉球建築【中篇】琉球八社と寺廟

伊東忠太と旅する琉球建築【後篇】城(グスク)

見出された琉球アーキテクチャ

伊東忠太(1867―1954)

山形県米沢生まれの建築家、建築史家。東京帝国大学教授。日本建築の源流を求めて、中国、インドなどを踏査し、日本建築史を切り開いた。また1924年に沖縄を訪れ、首里城保存のために尽力した。平安神宮(1895)、明治神宮(1920)、築地本願寺(1934)は伊東忠太による設計。西欧の「Architecture(アーキテクチャ)」に対応する「建築」という言葉は、それまでの「造家」に代わるものとして伊東忠太が生み出した。

ペーパーバック 四六判、324P
[印刷版] ISBN978-4-8214-9030-1、978-4-86143-527-0 C0326 ¥3,135 (税込)
[電子書籍版]¥1,870 (税込)

マチュピチュの「発見」ハイラム・ビンガム(著)/ 清水 修(訳)


【旅を愛し、旅を渇望する、すべての旅人に捧げる】

かつてペルーを中心とする南米に広がる文明をもった帝国があった。アンデス山中のクスコを都とするインカ帝国。インカの人たちは文字を知らないが、結縄キープの結び目を使って意思伝達し、飛脚チャスキが帝国全土に張りめぐらされたインカ道を駆けまわっていた。そして、美しい石組みの神殿をもつ都市を築いて、その頂点にインカ皇帝が君臨していた。

16世紀、大航海時代を迎えたスペインの征服者コンキスタドールは、このインカ帝国のまばゆいばかりの黄金に魅せられ、インカ皇帝を捕らえて殺害、帝国を制圧した。インカ帝国の一部の人々は、ペルー山岳地帯のビルカバンバに逃れて亡命政権を樹立、抵抗を続けるが、やがてスペインに征服される。人里離れたペルー山岳地帯、文字をもたなかった文明の特徴などから、インカ帝国「最後の都」ビルカバンバは放棄され、忘れ去られてしまっていた。

そして、数世紀が過ぎた。

1911年、アメリカ人探検家ハイラム・ビンガムは、イェール大学の探検隊をひきいて南米ペルーへ旅立った。その目的は、失われたインカ帝国「最後の都」ビルカバンバを探すこと。ビンガム一行は、ペルー高原地帯を旅するなかで、悪魔の出現する白い岩、太陽の処女、占い師や神官のいる大学、催眠状態を引き起こす麻薬性あるウィルカの種子と、次々にインカ帝国の謎にせまっていく。

そして、その旅の過程において、メルチョール・アルテアガに導かれ、山中の尾根に展開する都市遺跡マチュピチュを「発見」。インカの都市の姿を、ほとんどそのまま残したマチュピチュを紹介し、世界中を驚かせた。

チチカカ湖、クスコ、コロプナ山登頂から、インカ神話やインディヘナの生活、キリスト教宣教師の苦難まで、旅の醍醐味をあますところなく伝える『Inca land : explorations in the Highlands of Peru』(1922年発刊)を本邦初訳出。

ディスカバリー・オブ・マチュピチュ、『マチュピチュの「発見」』。

はじめに
第1章/砂漠を越えて
第2章/コロプナ山登頂
第3章/パリナコチャス湖への道
第4章/フラミンゴの湖
第5章/チチカカ湖
第6章/ヴィルカノタ州とペルー高地の民
第7章/ウアタナイ渓谷
第8章/南米最古の都市クスコ
第9章/最後のインカ四代
第10章/インカ最後の都を求めて
第11章/探検は、続く
第12章/要塞ビトコスと「太陽の家」
第13章/ビルカバンバ
第14章/コンセビダヨク
第15章/幽霊たちのパンパ
第16章/失われた最初のインカの都市、タンプ・トッコの物語
第17章/マチュピチュ
第18章/マチュピチュのはじまり
解説/ディスカバリー・オブ・マチュピチュ

ハイラム・ビンガム(1875-1956)

ハワイ生まれのアメリカ人探検家。1911年、イェール大学の探検隊をひきいて南米ペルーへ。インカ帝国「最後の都」ビルカバンバを求めるなかで、山中の尾根に展開する都市遺跡マチュピチュを「発見」。20世紀考古学において、最大級の評価を受けた。

清水 修(しみず おさむ)

東京外国語大学卒業後、総合商社勤務。東南アジアから中東まで、アジア各地に赴任。豊富な海外滞在歴を活かして翻訳業に従事。

ペーパーバック 四六判、406P
[印刷版] ISBN978-4-8214-9029-5、978-4-86143-520-1 C0326 ¥3,608 (税込)
[電子書籍版]¥1,815 (税込)

ISBN978-4-8214-9029-5、978-4-86143-520-1

ペーパーバック四六判、406頁 、¥3,608 (税込)
電子書籍版¥1,760 (税込)

新版 項羽と劉邦 長与善郎/松本犂牛

紀元前221年に中華を統一した始皇帝の死後、中華は再び混乱の時代を迎えていた。そして、秦の都咸陽(西安)から東に遠く離れた楚の地では、ふたりの英雄が機会をうかがっていた。項羽と劉邦。名門に生まれ、超人的な戦闘力をもった覇王項羽に対して、農民出身だが人望に優れた劉邦。彼らのそばには、それぞれ中華一の美女とたたえられる虞姫(虞美人)と、豪傑まさりの胆力をそなえた呂妃という対照的な女性がいた……。

息をのむほどの緊張感ある駆け引きが繰り広げられる「鴻門の会」、絶体絶命の危機に追い込まれた「四面楚歌」、一度は敗れた者が再び勢力を巻き返す「捲土重来」。項羽と虞姫、愛と野心、智謀と寛大、天下をめぐってさまざまな想いがせめぎあう。後世に語り継がれた名場面の数々を生んだ物語(戯曲)が、現代語訳で読みやすくなって登場!

(註)初版本『項羽と劉邦 : 戯曲』は1922年、新潮社より発行された。また現代語訳にあたっては1951年発行の岩波文庫版『項羽と劉邦』も参考とし、文語的語彙や言い回しを現代的表現に改めたほか、翻案を行った。

目次 項羽と劉邦

[序幕]

  会稽太守、殷通の館

[第一幕]

  第一場 徐州、塗山駅の虞一公邸

  第二場 沛県にある劉邦の館

  第三場 彭城におかれた楚軍の本営

[第二幕]

  第一場 定陶郊外、とある居酒屋の中

  第二場 咸陽の近く、新城におかれた項羽の陣

  第三場 関中、覇上にある劉邦の館の前

[第三幕]

  第一場 関中、鴻門にある項羽の館

  第二場 韓信の館

[第四幕]

  第一場 洛水をのぞむ項羽の館

  第二場 巴蜀山中、劉邦の駐屯地

  第三場 九里山戦場、項羽の陣

  第四場 同じく九里山戦場、韓信の陣

[第五幕]

  第一場 固陵、韓信の館

  第二場 韓信の館、その奥の一室

  第三場 垓下、項羽の城の中

[終幕]

  烏江のほとり

ISBN978-4-8214-9080-6、978-4-86143-385-6

ペーパーバック四六判、328頁 、¥3,080 (税込)
電子書籍版¥1,320 (税込)

中国省別全誌 第四巻 山東省 東亜同文会

20世紀初頭、上海に設立された東亜同文書院の日本人学生たちは、中国全土へ派遣され、各地の状況をこと細かに調査。圧倒的な踏査によるレポートは『中国省別全誌 全18巻』としてまとめあげられた。その第4巻は『山東省』。済南府城(歴城県)、周村鎮、濰県城、芝罘、龍口港、威海衛、青島(膠州湾)はじめ、51もの山東各地の都会、交通および運輸機関、生産業および主要物産、商業機関および倉庫、貨幣および金融機関を、31点の地図とともに収録。Japan met China in 20th Century. 東アジア近代交流史に、燦然と輝く金字塔が現代仮名づかいで復活! 

【註】テキスト、地図は新しくデータを制作していますが、写真は1920年当時のものを転用しているため、判然としないもの、スキャン時のノイズが見られます。

→【中国省別全誌 第四巻 山東省 紹介(PDF)】


POD版ISBN978-4-8214-9054-7、978-4-86143-333-7

ペーパーバックA5判、800頁、¥7,920 (税込)

神々たちのインド 姑射若氷

「インドの神々」を大解剖!!

Q、インド人は本当に四本腕の神さまが実在すると思っているの?
Q、カーリー女神寺院で、人身供犠が行われていたって本当?
Q、インドで牛や樹木、石までが信仰対象になるのはなぜ?

インドの神さまやインド人の信仰の「なぜ?」「どうして?」に答える『神々たちのインド』。ヴェーダの神々から、破壊神シヴァ、維持神ヴィシュヌ、英雄ラーマやクリシュナ、象頭のガネーシャといったヒンドゥー教の神々、また聖なるガンジス河から神聖な動物、悪魔(鬼神)まで、縦横無尽に記述。

「インドの不思議」解明の手がかりになる1冊が登場! 全編を彩るインド絵画(The Metropolitan Museum of Art所蔵)もあわせて。

(註)初版本『印度の神々』は1916年、向陵社より発行された。今回の新版にあたって、旧字体を現代仮名遣いに改めたほか、文語的語彙や言い回しを現代的表現に修正し、翻案を行った。

 目次 神々たちのインド
第1章 インド神話の展開
第2章 ヒンドゥー教の聖典
第3章 天父ディアウスと地神プリティヴィー
第4章 火神アグニ
第5章 太陽神スーリヤ、サヴィトリ
第6章 全能の宇宙主神ヴァルナ
第7章 司雨の神インドラ
第8章 酒神ソーマ
第9章 冥府の主神ヤマ
第10章 『ヴェーダ』の小神
第11章 ヒンドゥーの三大神
第12章 創造神ブラフマーと学芸の女神サラスヴァティー
第13章 維持神ヴィシュヌと運命の女神ラクシュミー
第14章 ヴィシュヌの十種化身(マハー・アヴァターラ)
第15章 ラーマとシーター(『ラーマーヤナ』)
第16章 クリシュナとラーダー
第17章 仏教の創始者ブッダ
第18章 世界の主ジャガンナート
第19章 愛の神カーマデーヴァ
第20章 托鉢神チャイタニヤ
第21章 破壊神シヴァ
第22章 シヴァの妃パールヴァティー、ドゥルガー、カーリー
第23章 象頭神ガネーシャと軍神スカンダ
第24章 鬼神・動物・聖樹・女神・聖者などへの信仰
第25章 五人兄弟の物語(『マハーバーラタ』)
第26章 聖河信仰
第27章 動物信仰
第28章 聖樹や聖石信仰
第29章 女神信仰
第30章 英雄、聖者信仰
第31章 祖先崇拝
第32章 鬼神、悪魔崇拝
第33章 惑星信仰
第34章 聖者と北斗七星信仰
第35章 ジャイナ教と仏教の神々

編訳者 姑射若氷(1873-1955)
本名、戸沢正保(とざわまさやす)。茨城県出身、東京帝国大学卒の英文学者。明治から昭和にかけて、イギリス文学研究、翻訳、小説などの分野で活躍。『シェイクスピア全集』の翻訳を浅野和三郎とともに手がけた。東京外国語学校第7代校長。

ISBN978-4-86143-354-2、978-4-8214-9028-8、ペーパーバック四六判、398頁 、¥3,960 (税込)
電子書籍版¥1,210 (税込)